月面の赤いマーカーから伸びる点線は「マーカーが向いている方向」です。自転ありの状態では、月がどこにいても点線は地球を指し続けます。
左上の2つの円は、公転で何度進んだかと、月自身が何度回ったか。自転ありならいつも同じ角度になります。1周公転する間にちょうど1回転している、ということです。
月が向きを変えずに公転した場合です。マーカーは宇宙の同じ方向を向いたまま動くので、満月のころには地球の反対側を向き、右上の「地球から見た月」から消えます。月の裏側が見えてしまうわけです。
つまり「同じ面を向けている」のは、自転していないからではなく、公転と同じペースで自転しているからです。
カメラは宇宙に対して向きを固定したまま月を追いかけます。月の上のマーカーが、背景の星に対してぐるりと1回転していくのが見えます。
地球の引力が月をわずかに引き伸ばし、その引っぱりが月の自転にブレーキをかけ続けました。長い年月をかけて自転が公転と同じ速さに落ち着いた状態を「潮汐ロック」と呼びます。
このモデルは太陽の方向を固定して描いているので、1周がちょうど満ち欠けの周期(約29.5日)になります。星を基準にした本来の公転・自転周期は約27.3日で、その差は地球自身が太陽のまわりを進むぶんです。また実際には軌道の傾きや楕円軌道のため、月の表面の約59%が地球から見えます(秤動)。